「動物絵本」と一言で言っても、ストーリー性がある絵本だったり、図鑑のような絵本だったりと、さまざまな種類があります。
中でもおすすめなのが、動物の画家である、薮内正幸さんが描いた動物絵本です。
ここでは、日本の代表的な動物画家・薮内正幸さんが描いた動物絵本を紹介します。
動物画家・薮内正幸さんとは?
日本の動物絵本の第一人者といえるのが、動物を専門に描く“動物画家”、薮内正幸(やぶうちまさゆき)さんです。
1940年に大阪で生まれた薮内正幸さんは、子どもの頃から動物が好きで、独学で動物の絵を描きはじめたのだとか。
図鑑画を描くために福音館書店に入社し、図鑑・絵本の絵を担当する中で、他社からの依頼が増えていったのだそうです。
“動物画家”として、さまざまな図鑑や絵本をはじめ、広告など幅広く手がけてきた薮内正幸さん。
代表的な絵本に「どうぶつのおやこ」「どうぶつのおかあさん」「どうやってねるのかな」「しっぽのはたらき」などがあり、動物たちへの温かいまなざしで描かれた作品は1万点以上になります。
2000年に逝去されていますが、その4年後、日本で唯一の動物画専門美術館として、山梨県北杜市白州に「薮内正幸美術館」が開館されました。
今朝は、山梨県北杜市の薮内正幸美術館に行ってました。昔、薮内さんの原画展をイベントをやったことがあるので、気になる場所でした。繊細な動物画の原画、素敵でした。 pic.twitter.com/0haumJcOhA
常設展示ではなく、定期的に展示作品を入れ替えているので、来館のたびに新しい作品を見ることができます。
では、薮内正幸さんが描いた動物の絵本を見ていきましょう。
福音館赤ちゃんの絵本「どうぶつのおやこ」
中央児童福祉審議会特別推薦図書
作者:薮内正幸
出版社:福音館書店
出版年:1966年
おすすめ年齢:0歳児~
赤ちゃんでも動物を楽しめる、字のない絵本です。
表紙のネコをはじめ、イヌやウサギなどの身近な動物や、ライオンやカバ、キリンなどの動物園で見られる子ども達の大好きな動物たちが勢ぞろい。
どの動物たちも皆、お父さんお母さんと一緒に安心した表情をしています。
壮大でありながら、字がないことも相まってかどこか静寂さを感じさせるのはこの作品ならでは。
動物たちの鼓動や体温までもが伝わってくるような絵本です。
いぬ、さる、くま、ぞうにライオン……。町や動物園で見かける身近な動物たちが次々に登場します。どの動物の子どもたちも、お母さんやお父さんがいっしょです。だっこされたり、じゃれていたり、子どもたちはとても安心した表情をしています。それぞれの毛の手ざわりや、息づかいまでが感じられるほど丁寧に描かれた動物たち。まるで親子がかわしていることばまでもが聞こえてきそうです。小さな子どもたちにぴったりの文字のない動物の絵本です。
出版社 福音館書店公式HPより引用
0.1.2えほん「ここよここよ」
著者:かんざわとしこ
画家:やぶうちまさゆき
出版社:福音館書店
出版年:2003年
おすすめ年齢:0歳児~
鮮やかな黄色の表紙が目を惹く、赤ちゃんにおすすめの絵本「ここよここよ」。
「どこにいるの?」の問いかけに、お母さんに隠れていた動物が次々と顔を出します。
ニワトリもコアラもペンギンも、赤ちゃんはみんなお母さんと一緒です。
親子のコミュニケーションをはかれそうな絵本です。
「どこにいるの?」の呼びかけに、お母さんの陰に隠れていた動物の赤ちゃんたちが顔をのぞかせます。めんどりの羽の下のひよこも、お母さんに抱かれたオランウータンの赤ちゃんも、みな幸せそうな表情をしています。藪内正幸さんの、緻密で繊細なタッチで描かれた動物の親子には、あたたかく幸せな「ハチミツ色」の時間が感じられます。
出版社 福音館書店公式HPより引用
0.1.2えほん「もうおきるかな?」
著者:まつのまさこ
画家:やぶうちまさゆき
出版社:福音館書店
出版年:1998年
おすすめ年齢:0歳児~
動物の寝起きをテーマに、繰り返しのフレーズで展開される絵本です。
動物が気持ちよく眠る姿が登場したと思ったら「あー、おきた!」と、起きた姿が描かれています。
ネコなどの身近に見かける動物や迫力のあるゾウなど、表紙のウサギを含めると5つの動物が登場します。
どれもリアルで生き生きしていて、惹きつけられますが、特にネコは躍動感があります。
子どもはもちろん、大人もその毛並みや息づかいまで聞こえてきそうな動物の姿に、引き込まれるでしょう。
角が丸く、赤ちゃんでも安心の0.1.2えほんで、動物のファーストブツクとしておすすめです。
動物たちが親子で気持ちよさそうに眠っています。「もうおきるかな?」ページをめくると「あー、おきた! 」最後にゾウの親子も起き上がり、さあ、鼻と鼻をつないでおでかけです。
出版社 福音館書店公式HPより引用
幼児絵本シリーズ「おかあさんといっしょ」
日本図書館協会選定図書
作者:薮内正幸
出版社:福音館書店
出版年:1985年
おすすめ年齢:1歳児~
親子パンダの表紙がやさしい雰囲気の「おかあさんといっしょ」。
イヌやネコ、サルやライオンなどさまざまな動物が登場し、お母さんや兄弟たちと遊んだり食べたりする様子が描かれています。
丁寧に描かれた動物たちの姿に、母の包容力を感じずにはいられない絵本です。
いぬ、ねこ、ライオン、さるなどの動物の子どもたちが、お母さんと一緒に遊んだり、食べたりしている様子を心をこめたていねいな絵で紹介してゆきます。
出版社 福音館書店公式HPより引用
幼児絵本シリーズ「どうぶつのおかあさん」
著者:小森 厚
画家:薮内正幸
出版社:福音館書店
出版年:1981年
おすすめ年齢:1歳児~
こちらも母と子をテーマにした動物絵本ですが、こちらは“お母さんがどのように子どもを連れて歩くか”を伝えます。
子どもをくわえたり抱っこしたりするほかにも、さまざまな生活スタイルがあることがわかるでしょう。
動物の母親は、どうやって自分の子どもを運んでゆくのでしょうか。子どもたちが好きな動物を13種類登場させ、リアルに、母が子を連れ歩く様を描いています。
出版社 福音館書店公式HPより引用
幼児絵本シリーズ「どうぶつのこどもたち」
全国学校図書館協議会選定図書
著者:小森 厚
画家:薮内正幸
出版社:福音館書店
出版年:1989年
おすすめ年齢:2歳児~
こちらは、“子ども達”をテーマにした動物絵本です。
イヌやサル、ゾウにライオンなど、さまざまな動物の子ども達が元気よく遊ぶ姿が描かれています。
子どもはみんな、どの動物も可愛いものです。
遊ぶことで、成長に欠かせない動きを自然に練習するのは、動物だけでなく人間の子どもも一緒ですね。
動物の若い力がみなぎる絵本です。
動物の子どもは、遊んでいるように見えて、実は成長してからの体の動きの練習をしているのです。いぬ、さる、ぞうなどの子どもの遊びの様子を描きます。
出版社 福音館書店公式HPより引用
幼児絵本シリーズ「どうやってねるのかな」
全国学校図書館協議会選定図書
作者:薮内正幸
出版社:福音館書店
出版年:1987年
おすすめ年齢:2歳児~
こちらは“動物の寝ている姿”をテーマにしたこれまたユニークな絵本です。
座って寝る動物、1本足で立って寝る動物。
フラミンゴを真似する子もいるでしょうね。
動物を覚えられるだけでなく、知識がひとつひとつ増えていくのも、薮内正幸さんの絵本のおすすめポイントです。
キリンがどうやってねるか知っていますか?一本足で立ってねむる動物もいます。それぞれの体に合った寝姿が、ほほえましく、親しみを感じさせます。
出版社 福音館書店公式HPより引用
幼児絵本シリーズ「なにのこどもかな」
全国学校図書館協議会選定図書
作者:やぶうちまさゆき
出版社:福音館書店
出版年:1987年
おすすめ年齢:2歳児~
ペンギンやライオン、イノシシなど、9種類の動物の親子が、生き生きと描かれた迫力のある絵本です。
どの動物も見つめ合っているのが、あたたかく心に残ります。
珍しい動物も登場するので、お楽しみに。
幼い子は母親と自分との関係から、動物の赤ちゃんにとても興味を示します。ペンギンからライオンまで、9種類の動物の親子を迫力ある絵で描いていきます。
出版社 福音館書店公式HPより引用
やぶうちまさゆきさんの動物絵本まとめ
- 薮内正幸さんは日本を代表する“動物画家”
- 写実的に描かれた動物はどれも生き生きとして見応えがある
- 動物の親子や生活スタイルなどにスポットを当てたユニークな内容
- さまざまな動物の種類を覚えられるうえ、知識を獲得していける絵本
2000年に逝去されているので、真新しい新作が発表されないのが残念でなりません。
しかし、多くの作品を遺した薮内正幸さんの動物絵本、図鑑などは時代を越えて多くの子ども達に愛され続けています。